祈りを込めた各地の雑煮
正月に食べるおせちや鏡餅。
これらもまじない食のひとつです。
正月とは元々は各家庭に年神様を迎えるために行う「正月祭」でした。
鏡餅は年神様へお供えする神饌で、雑煮は、年神様の力が宿った餅を家族皆でいただく直会の形でした。
こうして誕生した雑煮には、
各地それぞれに土地の食文化を反映したものが残っています。
下記は私の実家の雑煮を家で再現したもの。
私の故郷は鹿児島県と宮崎県の県境あたりです。
「おやし」と呼ばれる豆もやしを使い、「かしわ(鶏肉)」を具にします。
餅は丸餅を煮込みます。
「おやし」にはまめまめしく働けるようにと願いが込められていると聞きました。
下は島根県出雲地方の雑煮です。
取材で食べさせてもらいました。
十六島海苔という十六島地区でしかとれない海苔を使います。
十六島海苔は出雲の教えを布教する御誌がお札代わりに持参したそうです。
とても歯ごたえのある独特の海苔です。
こちらも出雲の雑煮で「小豆雑煮」です。
ぜんざいのように見えますが、ほとんど甘みはなく、
ほのかな甘みと塩気の小豆汁の中にゆでた餅が入っています。
神在祭との関連や、小豆の赤で厄除とも関わりがあるのか?
これはまだ調査できていません。
こちらは香川の「白みそあん餅雑煮」。
取材で食べました。
餅の中にはあんこが入っています。
(この写真ではわかりやすいように切ってありますが、本来は丸いままで入っているので、見た目は白い丸餅です)
上にのっている金時人参は坂出の特産品です。
餅の白と金時人参の赤で、おめでたい紅白で縁起をかついだそうです。
こちらは福岡県の宗像の古式祭の取材に行ったときに、
江口の霜月祭を見学させていただいた際に、お直会でいただいたもの。
カツオ菜がのっています。
カツオ菜は博多雑煮にも使われる食材です。
写真の雑煮は博多雑煮とは別物なのですが、
カツオ菜は「勝男菜」に通じ、縁起が良いとされました。
雑煮は各家庭で食べるものなので、なかなか自分の故郷以外のものを食べる機会がありませんが、各地の食文化を知る入口になってくれます。
下記のフードライターの白央篤司さんのお雑煮記事でお雑煮を作ってきました。
東北や京都のお雑煮についても読めますのでぜひ!