きゅうりが病の身代わりに 京都のきゅうり封じ
京都のいくつかの寺院で行われる「きゅうり封じ」「きゅうり加持」は、
野菜がまじないを担う例です。
きゅうりに人間の代わりに病を担ってもらい、
災厄の身代わりになってもらうというものです。
「西賀茂の弘法さん」と呼ばれる京都・放光山神光院(真言宗)では、
毎年七月二十一日と、この日に近い土用丑の日に「きゅうり加持」が行われます。
「きゅうり加持」は弘法大師が編み出したと伝わる秘儀であり、病魔悪鬼をキュウリに封じ込めて、無病息災を得るというもの。
キュウリのなかには「内符」が挟み込んであり、
このキュウリで体の悪い部分やよくなりたい部位をさすり、
持ち帰って家の庭土に埋めることで、病気除けとします。
夏野菜の代表格であるキュウリは、
9割が水分で非常に腐りやすいという性質を持っています。
つまり土に埋めると土内の微生物の力で分解されるのも早いため、
キュウリに封じ込められた病魔悪鬼は、
キュウリとともに分解されて、自然に還ってしまうと考えられました。
食材としてのキュウリの特性をいかし、
自然の働きをうまく利用しながら、
冥加を説明しているところがとても興味深いです。
きゅうり封じについては『日本まじない食図鑑』で詳しく紹介しています。
ご興味ある方は、ぜひ読んでみて下さい。